「富士山表富士宮口登山組合」のマップによると、五合目から六合目までは所要時間20分、足慣らしにちょうどよいなだらかで歩きやすい火山灰の斜面を進みます。

高山病対策のためことさらゆっくりゆっくり歩を進め、ぴったり20分で六合目の山小屋に到着。
なんとなくのどかな田舎のお土産やさんといった店構え。

金剛杖が店先で売られていますが、やはりストックのほうが使いやすかったと思う。

六合目を過ぎるとどんどん足場が悪くなってくる。
なるべく歩幅を狭く、上がる段差も小さく、ストックで体重を支えながら、足の力でぐいっと上がらないように努めながらよちよちと進む。

お、新七合目の小屋が頭上はるかに見えてきました。
よちよち、よちよち。
ランニングと同じ、足の筋肉を使わず、足の力は抜いて、骨盤を回すように、足がウエストあたりから生えているような感覚で焦らず進む。
この六合目~新七合目が所要目安60分と一番長い。

7:11新七合目到着。
まったく急いでいないのに、所要時間50分ちょっと、優秀、優秀。
よちよちながらも途中で休憩せずにコンスタントに進んだ成果。

歩きながら腹が減った私、ここで持参のおにぎりをチャージ。うまし。
15分ほど休憩して、新七合目を出発。
8:20、「新七合目」の次は・・・わはは、「元祖 七合目」なのだぁぁああ!!

予備知識なしに登るとショックかも。
山小屋でトイレ利用。
トイレはすべて「バイオトイレ」になっており、少し臭いはするものの、それなりにきれい。1回200円。
休憩の後、八合目目指して出発、特にしんどくもなく登り続けていたつもりだったけれど、八合目が見えてきたあたりで、下ってくる人とすれ違うために足場のいいところまで少し降りようとしたところで・・・右足の指(中指・薬指あたり)が攣った!!
靴の中で、どうやって伸ばしたらいいかもわからず、イテテテテテ・・・・!!と言いながらしかたなくそのまま須進む。靴の中で指が引きつり、捩れるのがわかる。イテテテテ!!

足を引きずりながら、9:10八合目到着。
このあたりから既にかなり風が強く、少しでも風を避けるように山小屋の柱の影に座り込み、靴を脱いで、攣った足指を伸ばす。
風が強く冷たく、一気に疲労を感じる。休憩している若い男の子たちも寒い寒いとポンチョを着用。っていうか、雨具ポンチョかい?ダメでしょそれじゃ??
ちくしょう、ちくしょう痛いけど治れ~、と足指をマッサージ。
気温が低いなら汗もそんなにかかないだろうし・・と、飲み水が水(酸素水)だけにしたこと、なのに電解質を補給できるエンライテンを持ってこなかったこと(あんなに小さくて10gもないのに!)を激しく後悔しつつ、少しでも体調を回復すべく、ウィダーエナジーとザバスピットインリキッドなどのジェル状の補給食をチュウチュウ。
こいつらがまた甘くてマズい!けど今の状態ではこういうものを口にするのが精一杯。
たぶん八合目で20分くらい休憩し、よろよろと九合目を目指して出発。
いよいよ風が強くなる。
岩場の中になんとなくつけられた幅4mくらいの登山道は左右どちらかに必ずトラロープが張られているが、トラロープや岩をつかまずに立っていることはもはや不可能。
下山者とすれ違うときや後ろから追い越されるときに道をあけるにも、風が一瞬弱まったとき、わずかに足場がよいところで、覚悟を決めて場所を移動しなければならない。怖い。
幸い、お天気はよく、日差しが強い。
ところで、途中でも、こんな上のほうでも、驚くべきことに、ランニングシャツ・ランニングパンツという軽装で、私たちがロープにしがみつきながらよろよろとよじ登っている岩場を、天狗のようにひょいひょいと駆け上がる人を何人も見かけたのであった。
たぶん、今週金曜(7/24)に開催される「富士登山競走」に参加するランナーでは・・・
この、人間技とは思えないレースは、富士宮ルートではなく、富士吉田市役所から吉田口登山道を21km(標高差3000m)駆け上るコースで、制限時間4時間半だって!
アタマおかしいんじゃないの?!などと尊敬をこめて小声で悪態をつく私たち。
2008年の、頂上付近のレースの様子はこんなかんじらしい。
た、たのしいのだろうか・・・?
九合目に向かって必死に足を進めながら、一息いれる合間に、タッチーと、どうする?この先まで行けるかな?ちょっとヤバいよね・・・・?と不安を打ち明けあう。
10:18、九合目。

小屋の前も立っていられないくらいの暴風。
この先、更に1時間くらい(目安)これ以上の暴風の中を進まないと頂上へは到達しない。
これ以上の暴風の中、ということに大きな恐怖を感じる。
他の登山者は途中の山小屋で一泊する人も多いだろうけれど、私たちは日没までに、この急峻な岩場を下山しなければならない。
体力、脚力はまだ限界ではない、むしろ余裕。体調も、高山病症状もほとんどなく(少し頭がぼんやりしているくらい)、特に悪くはない。
けれど、この強風の中の下山を思うと、さきほどの足指が攣ったことが、重大な警告に思える。
タッチーと、九合目で撤退を決める。

九合目景色。
左手下の白いところは残雪、手前の荒涼とした、地獄の中の風景のような中を登山者がぽつりぽつりと見える。
地球は丸いね。

ここが私たちのピークである。
悪夢の下山につづく・・。
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